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コラム

2026年9月15日施行予定
F・J・Iビザの「D/S」廃止と滞在期限の設定について

米国国土安全保障省は、F・J・Iの各ビザについて、従来の「Duration of Status(D/S)」による滞在管理を改め、I-94に具体的な滞在期限を設定する最終規則を公表しました。約50年続いてきた仕組みの変更であり、留学生の方や社員を派遣される企業様に広く影響します。2026年9月12日時点で分かっている内容を整理しました。

IMPORTANT

本記事は2026年9月12日時点の情報に基づいています。本規則については連邦裁判所で差止めを求める訴訟が係属しており、施行日や規則の効力が直前に変更される可能性があります。実際のお手続きの前に、最新の情報をご確認ください。

1. 何が変わるのか

これまでF・J・Iの各ビザで米国に入国した場合、I-94の滞在期限欄には「D/S(Duration of Status)」と記載されてきました。これは具体的な年月日ではなく、そのステータスにふさわしい活動を適法に続けている間は滞在を認める、という考え方です。

今回の最終規則が施行されると、この方式が改められ、I-94に「Admit Until Date」として具体的な日付が記載されます。以後は、その日付を超えて滞在する場合に手続きが必要になります。

これまで 施行後
I-94の記載 D/S(期限の定めなし) 具体的な年月日
滞在できる期間 適法にステータスを維持している間 記載された日付まで
期間を延ばすとき 学校のI-20延長が中心 USCISへの延長申請が必要になる場合がある

2. 対象は F・J・I の3区分です

報道などで「F・M・J」と紹介されている例がありますが、最終規則が対象としているのは以下の3区分です。

●F:学術目的の留学生
●J:交流訪問者
●I:外国報道機関の関係者

M(職業訓練等の学生)は今回の対象ではありません。 M-1はもともとI-94に期限が設定され、必要に応じて延長を申請する仕組みのため、今回の変更の中心ではありません。

3. 「4年で帰国しなければならない」わけではありません

最も誤解が生じやすい点です。施行後は、1回の入国または延長で認められる期間が原則として最長4年となります。I-20やDS-2019のプログラム終了日がそれより早い場合は、短い方が基準になります。

これは「F-1で滞在できる合計が4年まで」という意味ではありません。たとえば6年かかる博士課程であっても、4年で学業を終える必要はありません。

4年を超えて滞在を続ける場合は、次のいずれかの対応が必要になります。

●学校で新しいI-20等を発行してもらったうえで、USCISへ滞在期間の延長を申請する
●一度出国し、必要書類を持って再入国し、新しい滞在期間を得る

4. I-20の延長だけでは足りなくなります

実務上、最も影響が大きい変更です。これまでは卒業が延びた場合、学校の担当者がSEVIS上でプログラム期間を延長し、新しいI-20を発行すれば滞在を継続できるのが一般的でした。

施行後は、I-20の期間と、I-94の滞在期限が別のものとして扱われます。 学校にI-20を延長してもらっても、それだけではI-94の期限は延びません。期限を超えて滞在するには、原則として期限内にUSCISへ延長申請(Form I-539)を提出する必要があります。

延長申請は、現在のI-94の期限より前にUSCISが受領する必要があるとされています。期限間際の申請は避け、余裕をもってご準備ください。

5. すでに米国に滞在されている方への経過措置

施行日に、現在滞在中の方のI-94が一斉に書き換わるわけではありません。施行時点でD/Sにより適法に滞在されている方には経過措置が設けられています。

原則として、お手元のI-20・DS-2019のプログラム終了日、または許可されているOPT/STEM OPTの期間まで、これまでどおり滞在を継続できます。ただし経過措置にも上限があります。

区分 経過措置の上限
F 2030年11月14日
J 2030年10月15日

これは「全員がこの日まで滞在できる」という意味ではありません。お手元の書類の期限が先に到来する場合は、そちらが優先されます。

6. 一時帰国・海外旅行にご注意ください

経過措置の対象となる方であっても、施行日以降に米国外へ出て再入国すると、新しい制度が適用され、具体的な期限付きのI-94が発行される可能性があります。

渡航を一律に控える必要はありませんが、再入国された際は、必ずI-94の記載内容をご確認ください。従来のように「I-20が有効だから問題ない」とは限らなくなります。

7. 卒業後の期間が30日に短縮されます

新制度の対象となるF-1では、プログラムまたはOPT/STEM OPTの修了後に認められる出国準備期間が、従来の60日から原則30日へ短縮されます。ただし経過措置の対象となる既存のF-1の方については、60日が維持される規定があります。

8. OPT・STEM OPTへの影響

新制度では、OPTの期間がI-94の期限を超える場合、就労許可(I-765)だけでなく、滞在期間そのものの延長手続きが必要になる場合があります。

既存の方については特例があり、施行時点で米国内にD/Sで滞在されている学生が、2027年3月18日までに修了後OPTまたはSTEM OPTを適時申請する場合、一定の条件のもとで別途の延長申請を要しないとされています。

一度出国し、新制度で再入国された後にOPTを申請される場合は、取り扱いが異なることがあります。個別にご確認ください。

9. D/S廃止以外の重要な変更

今回の規則には、滞在期間以外にも留学生に影響する内容が含まれています。

学校の変更・専攻の変更

学部レベルでは、原則として最初の学年を終えるまで、学校の移籍や専攻・教育目的の変更が制限されます。大学院レベルでは、プログラム途中での教育目的の変更や移籍に、さらに強い制限がかかります。いずれもやむを得ない事情については例外の余地が設けられています。

同じ学位レベルへの進学

施行後にF-1でプログラムを修了した場合、原則として次はより上位の教育レベルへ進むことが求められます。修士から別の修士へ、といった同レベル・下位レベルへの進学には制限がかかります。なお、施行日より前に修了されたプログラムは、この計算には含まれません。

語学研修(ELT)の上限

F-1での語学研修プログラムには、休暇期間を含めて通算24か月の上限が設けられます。

10. ビザの有効期限とは別の話です

混同されやすい点ですので、あらためて整理します。今回変更されるのは、パスポートに貼付されたビザ(査証)の有効期限ではありません。

変更されるのは、米国に入国した後、いつまで滞在が認められているかを示すI-94の仕組みです。今後は、ビザ・I-20またはDS-2019・I-94の3つを、それぞれ別のものとして管理していただく必要があります。

11. 施行をめぐる現在の状況

最終規則は2026年7月17日に官報に掲載され、施行日は2026年9月15日とされています。政府側は新しい様式の導入やシステム改修を、この日付を前提に進めています。

一方で、2つの法的な論点が残っています。

●大学関係団体等が連邦地方裁判所に提訴し、施行の差止めを求めています。2026年9月3日に審理が行われ、裁判所は判断を留保しています。
●会計検査院(GAO)は、議会審査法上必要とされる期間の要件を満たしていないと指摘しています。

2026年9月12日時点で差止めの命令は確認されておらず、9月15日の施行予定は維持されています。 ただし施行直前に状況が変わる可能性があるため、最新の情報をご確認ください。

ご相談を承ります

今回の変更は、現在留学中の方、これから申請される方、社員を派遣される企業様のいずれにも関わります。とりわけ、一時帰国のご予定がある方、卒業や修了が近い方、OPTをご検討中の方は、ご自身の状況がどの扱いになるのかを早めに整理しておくことをおすすめします。

当事務所では、審査の視点を踏まえて、お一人おひとりの状況に応じたご案内を行っております。どうぞお気軽にご相談ください。

本記事は2026年9月12日時点で公開されている情報を整理したものであり、法的助言を目的とするものではありません。実際のお手続きにあたっては、最新の公式情報をご確認いただくか、個別にご相談ください。

代表 髙取朋子
執筆 / Taka Visa Solutions 代表
髙取 朋子

元 在大阪・神戸米国総領事館査証課 日本人職員スーパーバイザー。30余年にわたり査証業務に携わり、10万件規模の査証案件に関与。

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